帝国データバンクの人手不足に関する企業の動向調査(調査時期:2015年1月19日~31日、調査対象:全国23,402社)によると、企業の37.8%が正社員の人手不足を感じているとのことです。一部の業種では人手不足が深刻で、「情報サービス」業では59.3%もの企業が人手不足を感じています。

 前回調査(2013年12月)では上から3番目だった情報サービス業は今回トップに上昇しました(前回のトップは建設業)。建設業界の人手不足は近年の傾向として今に始まったことではないですが、情報サービス業界では今何が起きているのでしょうか。

 実は情報サービス業界では官民の大型投資案件が目白押しとなっており、これに伴いシステムエンジニアが不足する事態となっているのです。これはIT業界の「2015年問題」と呼ばれ、問題の存在は以前から話題になっていました。それが今回の調査結果でも顕在化しデータで認識できるようになった、ということではないでしょうか。

 大型案件というのは、みずほ銀行の勘定システム開発案件(開発規模3,000億円)、日本郵政グループのシステム刷新案件(同4,900億円)、政府のマイナンバー制度に関するシステム開発案件(同3,000億円)などです。

 ちなみに、みずほ銀行の案件では開発工数は20万人月規模にも及び、これはエジプトにあるクフ王のピラミッド建設にかかった工数と同程度の開発規模と言われています。そのような大型案件が同時並行して幾つも走るわけだから、IT業界が人手不足に陥るのは当然と言えば当然かもしれませんね。

 また、これとは別にマイクロソフト社のWindows Server 2003のサポート終了(2015年7月15日)に伴う全国規模のシステム更新需要の影響も大きいと考えられます。Windows Server 2003のサポート終了問題は一部の大手企業に限らず、同OSを導入している中小企業や個人事業主にも関係のある重要なトピックです。(関連情報はこちらを参照)

2015022801