先日、日経新聞の夕刊にパートナーシップナーシングシステム(PNS)の紹介記事が掲載されていました。(PNSというのは記事を読んで初めて知りました。)
PNSとは医療現場で看護師が2人1組となって患者対応などを行う業務形態です。通常は看護師1人が複数の患者を担当するのに対して、PNSでは2人1組で複数の患者を担当し、医療ミスの防止や看護師の負担軽減を図るのが目的です。ベテラン看護師と若手看護師が組むことで、若手を早期に育成するというOJT的な要素もあると考えられます。
記事によると、PNSを導入した福井大学病院では看護師の離職率が6%から4.3%に低下した、業務効率化で超過勤務の削減につながった、医療の質向上につながった、など一定の成果が出ているようです。
しかし、良いことばかりではないようで、ペアを組む一方の看護師に業務負荷が集中する、「マイペース」で仕事ができなくなる、ペアを組む相手に過度に気を使ってしまう、などの弊害も指摘されています。これらのことから、トライアル的に導入して効果を見極めているという現場も多いのではないでしょうか。
PNSはすべての医療現場にマッチするというわけではなく、看護師の人数に制約のある小規模医療機関では導入が難しいとのことです。実際、インターネットで調べてみると大学病院などでの導入事例が多くヒットしました。
医療現場の労働環境改善は近年社会的な問題になっています。厚生労働省と各都道府県は平成26年から「医療勤務環境改善支援センター」を設置して対策に乗り出しました。社会保険労務士会も「医療労務コンサルタント」制度を設けるなど、医療現場の労働環境改善に積極的に関与し始めています。(医療現場を含む)各方面からの更なる改善活動の盛り上がりに期待したいです。