先日、大阪市内で中小企業庁による2016年版中小企業白書、小規模企業白書の概要説明会が開催されました。定員180名となっていましたが、会場はほぼ満席で関心の高さを実感しました。(参加者の多くは金融機関関係者やコンサルタントなどかもしれません)
講師の中小企業庁調査室室長の方は1時間半ほどの間、60ページ近くある説明資料をよどみなく説明されていました。その中で、今年の白書は中小企業の「稼ぐ力」をテーマに取り上げた、と話されていました。
中小企業が稼ぐ力(収益力)を向上させるためには、売り上げ拡大とコスト削減が必要であり、中小企業を取り巻く環境を考慮すると以下の3つの対策が特に重要である、ということでした。
①IT活用による生産性向上
②海外展開による外需獲得
③災害リスク等に備えるリスクマネジメント
②の海外展開は業種や経営方針によって当てはまらないケースもあります。③の災害リスクは立地によって大きく異なります。リスク対応がすぐ売上げ拡大に結び付くわけではありません。それに比べて①のIT活用は全ての中小企業、小規模企業に例外なく当てはまるのでは、と思います。
実際、白書ではIT活用している企業はそうでない企業に比べて、売上高も収益性(売上高経常利益率)も高い水準になっている、と報告されています。高収益企業は、経営者がビジョンを示し、従業員の声を聴きながら業務プロセス改善や研修等の人材育成に取り組み、計画的にIT投資を行い、生産性の向上につなげているようです。
近年は中小企業、小規模企業でもクラウドサービス等を使えば容易にIT化が可能となっています。時代のトレンドを読んで積極的にIT活用する企業とそうでない企業とでは、将来の収益力に大きな差が出ることも予想されますね。
※2016年版中小企業白書はこちらから確認できます。