2019年10月21日に開催された第20回労働政策審議会(雇用環境・均等分科会)において、「職場におけるパワーハラスメントに関して雇用管理上講ずべき措置等に関する指針の素案」が公表されました。

職場のパワハラ防止は大企業では2020年月から、中小企業では2022年4月から対応が義務化されることになっています。先日の労働政策審議会(分科会)では、どのようなケースがパワハラに該当し、どのようなケースが該当しないのか、について「指針の素案」という形で公表されました。

そもそも、職場におけるパワハラとは、『職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの要素を全て満たすもの』とされ、『客観的にみて業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導』については、職場におけるパワハラには該当しないとされています。

しかし、どこまでの行為がパワハラに該当するのか等あいまいで判断が難しいと言われていました。今回、指針の素案が公表され、パワハラに該当すると考えられる例、該当しないと考えられる例がそれぞれ示されました。

中身を確認してみると、「脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃)」に該当しない例として、以下のように記載されています。

・遅刻や服装の乱れなど社会的ルールやマナーを欠いた言動・行動が見られ、再三注意してもそれが改善されない労働者に対して強く注意をすること。

・その企業の業務の内容や性質等に照らして重大な問題行動を行った労働者に対して、強く注意をすること。

ただ、「どのように強く注意するか」によって注意を受けた側のとらえ方は変わる可能性があるので、これだけではなかなか判断が難しいのではないか・・・、というのが率直な感想です。

来年月の法律施行までには更に具体的な例がたくさん示されることでしょうが、現場が混乱しないよう明確な判断基準を期待したいです。