労働者の出産や育児を支援する社会の仕組みについて、認知度が低いなあと感じることがありました。大手企業に勤める知人にお子さんが誕生したのですが、産休や育休中に受けられる公的な支援については「何も知らない」「会社からは聞いていない」とのことでした。

出産は人生の一大イベントですが日常生活で身近に経験するものではないため、制度についてあまり認知されていないのは当然と言えば当然ですね。

労働基準法では出産予定日を含む産前6週(=42日)、出産日翌日からの産後8週(=56日)は労働義務が免除されます(もちろん女性限定の話です)。詳しく言うと産前6週については労働者が申し出た場合は働かせてはいけない、産後8週は申し出の有無によらず働かせてはいけない、ただし6週経過後は労働者の申し出があれば働かせてもよい、ということになっています。

産前産後休業の間はノーワーク・ノーペイの原則上、会社は賃金を支払う義務はありませんから労働者にとっては無給になってしまいます(会社の規則によっては支払われる場合もあります)。しかし、健康保険に加入していれば就労しなかった期間に対して出産手当金が支給されます。出産手当金は1日につき、標準報酬日額(=標準報酬月額の30分の1)の3分の2に相当する額となります。会社から賃金などの報酬が支払われる場合は出産手当金は支給されません。ただしその報酬が出産手当金より少ない場合は、その差額が支給されることになります。

出産日が出産予定日よりも後ろにずれた場合は産前休業期間は長くなります。その長くなった期間についても(不就労であれば)出産手当金は支給されます。

出産に関するもう一つの公的な支援として出産育児一時金があります。出産は病気や怪我ではないので保険が効かず全額自己負担となるのですが、それを補うために健康保険から出産にかかった費用を一時金として支給します、という制度です。妊娠85日以上の出産については一児につき一律42万円(もしくは39万円)となっています。

尚、上記で述べた健康保険とは協会けんぽ、健康保険組合のことです(国保には出産手当金はありません)。また、健康保険組合によってはより手厚い支援を行っている場合があります。

社会保険上の支援は他にもあります。2014年4月から産前産後休業期間中の社会保険料(健康保険料と厚生年金保険料)が全額免除されることになりました。 全額免除ですから労働者と会社(事業主)の両方にメリットがある制度です。制度の適用を受けるためには産前産後休業期間中に年金事務所に手続きを行う必要があります。