政府は働き方改革実現会議(議長:安倍首相)の初会合を27日に開きました。報道されているように、長時間労働の是正が大きな課題となっています。にわかに注目されているのが、時間外労働に関する協定です。この協定は労働基準法第36条に規定されていることから、36(サブロク)協定と呼ばれています。

一部の例外を除いて、企業が従業員を働かせる場合は、労働時間が1日8時間1週40時間を超えてはいけません(罰せられます)。しかし、現実的にはこの労働時間では業務が回らないこともあります。そのような場合は、労使協定を締結し労働基準監督署にそれを届け出れば、法定労働時間を超えても罰せられない、という決まりになっています。その労使協定が36協定なのです。

36協定を締結する場合は、1日と1日を超える一定の期間について、それぞれ限度時間を定めることが必要です。1日の上限に制限は無いので自由に記載できますが、1日を超える一定の期間については上限が定められており、その範囲内で記載することになります。

1日を超える一定の期間 上限時間
1週間 15時間
2週間 27時間
4週間 43時間
1ヶ月 45時間
2ヶ月 81時間
3か月 120時間
1年間 360時間

(よく用いられるのは1ヶ月と1年間の2つです)

ただ、この上限設定には抜け穴(?)があって、「特別条項」というものを記載すれば、上限時間を超えていくらでも好きな時間を設定できるのです(もちろん労使間で合意していることが前提ですが)。これが長時間労働を助長していると指摘され、マスコミに取り上げられている理由です。

従来、36協定の特別条項などというのは一部の人しか存在を知らないマニアックな仕組みでした。働き方改革が叫ばれ始め、労働法制の細かい仕組みにまで注目が集まるのは、時代の流れですね。